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●バランス接続とアンバランス接続の音、あなたはどっちが好み? オーディオの世界においてバランス接続はアンバランス接続よりも高音質というイメージをかねてからもっていました。 近年ではポータブルオーディオプレーヤー(DAP)にも従来のステレオミニ端子に加え、バランス端子が備わり、高音質再生を謳うようになったので関心を持っている方が非常に増えたと思います。 弊社に勤務して10数年、色々な機器を色々な接続方法で繋いで聴いてきましたが、確かにバランス接続の音は良いと思う一方で、アンバランスで繋いだ方が良い音がすると感じたものも結構あります。 なぜこういった話題を取り上げたのか? についてはあとでお話しするとして、個人的に印象に強く残る、アンバランスの方が良い音がする機器を紹介します。 |
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SONY SCD-1 定価500,000円 アンバランス出力は、かつてのRシリーズのような濃厚で暖かみがあり程良いセミウェットなサウンド。SACDはもとより、いやむしろCD再生の音を徹底的に作り込んだように感じます。バランスは…力感はあるものの音の線が細く、暖かみも躍動感も希薄なサウンド。 ワイドピッチな端子配置を活かして高音質なRCAケーブルを繋いで楽しむのが良いと思います。 専用設計のピックアップブロックを使っているのが災いして修理が困難になっているこのモデル、安定した動作をする個体を見つけたらもうめっけもんです。 |
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marantz CD-15 定価390,000円 SONY SCD-1やRシリーズの様なセミウェットな音とは対称的にドライなサウンド。重厚感はさほどないものの中音域に厚みを持たせメリハリの効いた、古いジャズにはドンピシャな音。球アンプで言えば300Bシングルの様な音でしょうか。 これをバランスで鳴らすと…全域でフラットバランスでちょっと現代的な音作りに変わります。システムが比較的新しめのもので組まれているならばこれで問題無いのですが、70年代以前の管球アンプやスピーカーで構成されたシステムならばアンバランスの音がお勧め。 …とここまで書いておいてなんですが…この傾向はこのモデルに限らず、『スイングアームメカ』や『DAC-7』を積んだプレーヤーに共通して言えるものかもしれません。 |
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SANSUI AU-α907L EXTRA 定価250,000円 普通この手のアンプだとSOURCE DIRECTボタンを押すのが常道ですが、このアンプだとなぜか力感が無くなってしまうのでNG。 このアンプの一番良い音がすると個人的に思うセッティングが「アンバランス入力+TONEボタンをON」。「SOURCE DIRECT ON」の時とはうって変わって音圧感、躍動感が凄い出てきます。まさに豹変…というよりようやく価格に見合った音が出てくれた、というべきか? SOURCE DIRECTの機能を信じて常時ONにしてしまっている方にまずは聴いて欲しいです。 この特徴は、α907系の黒い角張ったフロントパネルの時代(1986〜1990年頃)のモデルに共通しているように思います。 |
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McIntosh C22CE 定価378,000円 端子を見てもらっても分かる通り、入力端子は全てアンバランス端子なのに対してバランス出力が備わっています。バランス接続は入力に対してもバランス端子がある上で回路的にもバランス回路でなければあまり意味がありません。というわけでこのモデルに関してはバランス、アンバランスの音がどうこう…と言う以前に回路的な部分でアンバランスでの接続をお勧めします。 |
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といった訳で紹介してみましたが、そもそもなぜこの話題に触れたのか? ですが、かねてからDAPでハイレゾ音源をバランス接続して聴いています。 とりわけDAPにバランス端子が備わる様になってからは音質面で、 バランス接続>アンバランス接続 の構図が出来上がってしまっているように感じます。私も始め、そういうものだと思ってバランス接続の音ばかり聴いていたのですが…、 今年の春先にソニーのフラッグシップイヤホン、IER-Z1Rが登場したので思い切って大枚を叩いてみました。この音を一言でいうと、「雄大にして精緻」というのでしょうか? 空間の中にいろんな楽器が重層的に定位するような鳴り方をします。迷う事なくこのイヤホンもバランス接続で聞いていました。 ※ちなみにここに写ってるSINNE EEG「FACE THE MUSIC」の1曲目「What A Little Moonlight Can Do」の、始めのボーカルとドラムの絶妙な距離感と適度な残響効果は、バランスで聞くと音像が浮き出すような鳴り方をします。 |
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ある時、手持ちの音楽に飽きたのでネットラジオから良い音楽を拾おうとスマホのステレオミニプラグ端子に繋いで(=アンバランス接続)聴いていたのですが、予想以上に音が良い。 バランスの音に対し、アンバランス接続の音を聞くと全体的に音像が半歩下がった印象ですが、各楽器の前後左右位置がよく分かり、非常に聴きやすい落ち着いた音になります。 あくまで個人的な見解ですが、ネットラジオのような高圧縮のストリーミング音源は総じて音が平面的になりがちなところ、アンバランス接続で音像との距離を適度に取り、このイヤホンの特長によって立体的に鳴らしてくれるのでしょうか? 逆に先程紹介したSINNE EEGの音源だと音源そのものに適度な空間を持たせているのでバランスの時よりも落ち着いた音楽になりました。とはいえ、このイヤホンをアンバランス接続で聴いて聴きにくかった音楽はひとつもなかったです。 逆にバランス接続でYouTube動画などから拾ってきた音楽データを再生すると中には耳に刺さるような音源が何個かありました。 …と、なんだか本来の主旨から外れてしまってる感があるように思いますが、こうして書きながら感じたのは、バランスの音は各メーカーの機材によって程度はあるものの、とにかく音を明瞭に再現する方向に振った音になる傾向なのに対して、アンバランスの音はその機材の個性が色濃く出るということです。そういう意味で、「バランス接続>アンバランス接続」というある種の固定概念を捨てて、2種類の接続での音をもっとじっくりと聴いてみようと思います。 大須本店 小島 陽介 |
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