ハイファイ堂メールマガジン

ハイファイ堂日本橋店の永井です。やっと極寒の時期は過ぎ、だんだんと過ごしやすい日が多くなってきました。
前にも少し触れましたが、冬の寒い時期にはカートリッジのカンチレバーを支えるゴムの部分などが硬くなりがちで、そのため音に歪みが出るような場合もあります。　故障ではないのですが、事前にオーディオルームをまず自分が心地良く居られるぐらいに暖房して、オーディオ機器も少し暖めてから楽しむぐらいが良いのではないかと思います。　さて今回は「故障かな？と思ったら」と題して、オーディオのお手入れの仕方などお話していこうと思います。
「レコードプレーヤーの音途切れの場合」・「レコードプレーヤーの片チャンネルが鳴らなくなった。故障だと思うので直してくれ」といったような修理のご依頼をよく承ります。　お客様から詳しい状況を伺うとアンプやスピーカー、それぞれの配線も問題無い様子。という事はやはりカートリッジやレコードプレーヤーのトーンアームの故障かな？と思ってお問合せをいただくのですが、その場合にまず確認していただいた方が良いことがあります。
トーンアームとシェルは、特殊なモデルでない限り4本の棒状の端子の接点同士が触れ合って導通しています。シェルの方は固定されていて、アームの方がバネで凹むようになっており、シェルをねじ込むと接点同士が触れ合ったまま止まります。　ネジで少し押し戻す力がかかったまま接点が圧着されている状態なのですが、長い間この接点をそのままにしておくと経年の軽い錆びや汚れなどからか、接点不良が起こることがあります。

この場合はシェルを外し、シェル/カートリッジ両方の接点を磨きましょう。といっても洗剤や接点復活剤などは使わない方が無難です（一時的に良くなっても、油成分などが機器に残り、それが経年劣化すると余計に音が悪くなったりすることがあるからです）。　何もつけずに、ごしごし磨くのが一番なのですが、綿棒やブラシ・布類では繊維が後に残ったりして良くない場合があります。ある方から教わった一番良い道具はなんと「木製の割り箸！」　割り箸の細い方の先端を少しほぐして柔らかくした状態でアームやシェルの4本の端子に軽く押しつけて回し、汚れを取ります。　シェルの4本の端子はジーンズなどの繊維の残りにくい荒い布地におしつけて磨くのもおススメです。
たったこれだけの簡単の処置ですが、音途切れがなくなって症状が治まる場合も多いです。逆に言うと、この接点不具合に気づかないでいると、レコードプレーヤーを修理に出しても「異状なし」となり、無駄な労力を使ってしまうことにもなりかねません。　この様な症状が出た時には、まずはこの接点クリーニングを是非お試し下さい。
「真空管アンプから「ボツボツ・バリバリ」というノイズが出る場合」・この症状にも様々な理由が考えられます。最終的にアンプを総合的にチェックするに越した事は無いのですが、修理に出されるその前に、こちらも「接点クリーニング」が有効な場合があります。　（真空管の取り外しなどに慣れていない方は事前にまずはご相談いただきたいのですが、真空管の取り外しに慣れている方はお試し下さい。）→まずは電源を切り、ボンネットやキャビネットを外して真空管を一度抜きます。そして真空管の足の部分（ソケットに入っている部分）をブラシなどで磨きます。　この際も、何もつけずに軽く擦って下さい。見た目の錆びが気になる場合でも、まずは無理せずただゴシゴシ磨きます。ソケットの穴の中までは簡単に磨けませんが、この真空管の足だけを空磨きするだけでも効果があります。　古い真空管アンプで何年もメンテナンスなどされていないものにノイズが出た場合、この処置だけでノイズがなくなる場合も多いです。 (設計によっては取り外しの出来ない仕様のものもありますので、そういったものの場合は無理に抜こうとしないで下さい。それと、真空管は手袋をするか布などでつかんだ方が良いです。時間が経つと指紋跡の油分が変質してその部分から劣化するともいわれていますので…。）

もちろん各々の個体によって様々な不具合の原因がありますので上記のご提案はほんの一例にすぎませんが、僕の経験上この2つはとても有効なことが多いのでご案内しました。「故障かな？」と思う前にぜひ一度お試し下さい。ではまた！

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