お世話になっております、京都商品部の八木です。 暑くなったり寒くなったりと体調を崩しやすいこの頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか? 僕はというと、花粉症なのか?黄砂なのか?PM2.5なのか? おそらく風邪ではないだろうけど、鼻水とくしゃみがそこそこ出るという具合の、ちょっとした体調不良です。 早く夏が来て欲しい今日この頃です。 |
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さて今回のメルマガですが、今回もここしばらく連載させていただいております、JBLの名機「PARAGON」について。 今回はそのネットワークについて触れてみたいと思います。 前回までの記事は下から↓ エンクロージャー編: http://www.hifido.co.jp/merumaga/kyoto_shohin/171027/index.html ウーファー編: http://www.hifido.co.jp/merumaga/kyoto_shohin/171208/index.html ドライバー編: http://www.hifido.co.jp/merumaga/kyoto_shohin/180119/index.html ツイーター編: http://www.hifido.co.jp/merumaga/kyoto_shohin/180223/index.html 下写真 LansingHeritageより: http://www.lansingheritage.org/images/jbl/specs/home-speakers/1957-paragon/page3.jpg |
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公式には「PARAGON」のネットワークと言いますと、初期が「N500H」と「N7000」(左下写真)、中期以降は「LX5」と「N7000」(右下写真)という2パターンで認識されていると思います。 しかし、他のユニットからも見られるように、ここネットワークでも、あまり知られていない小変更がいくつか見られましたので、紹介したいと思います。 |
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まずは初期の「PARAGON」に搭載されている「N500H」についてですが、これも他のユニットと同様、「PARAGON」の発売以前から販売されていたもので、確認できたものでは3種類ありました。 他にもあるのかもしれませんが、とりあえずはこの3つで前期・中期・後期として考えてみたいと思います。 |
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前期(左上)中期(右上)後期(右)と推測します。 前期・中期は有名なところでは「HARTSFIELD」の初期モデルに搭載されています。 前期・中期の見た目の違いとしては、H.F.GAIN部分のセレクト表記が変更されています。 「PARAGON」は右の後期型が搭載されているのがオリジナルなのではと考えております。 見た目の違いは、シリアルのプレート、ターミナル周りの表記が変更されています。 |
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また初期「PARAGON」の中には「N500H」と同じ回路の「N400」というネットワークを搭載したモデルもあります。(左写真) 下写真は「Hartsfield」の「N400」の回路図ですが、記載の中に「N400 WAS N500,N500H,N500SCH NETWORK」と書かれています。 カタログ上では正式なのは「N500H」ですが、なぜかこの「N400」が搭載されている初期モデルもちょこちょこ見られます。 ↓ KRG Audioより: http://www.krgaudio.com/base_1//menu_5/menu_24.php?com_board_basic=read_form&submenu=24&menu=5&com_board_idx=9 |
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内部の写真です。 |
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左上が中期の「N500H」、右上が後期の「N500H」、左が「N400」。 見たところ少しずつ違いはありますが、特性は同じようです。 ただ材質が違うと音に影響があるので(特にコンデンサー)、音質がそれぞれ少しずつ違う可能性はあります。 |
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それから1962~64年あたりに「N500H」,「N400」は「LX5」に変更されたのではと推測されます。 ここは大きい仕様変更点になると思います。 以前の「N500H,N400」と「LX5」では特性も変わってきますので、受ける音の印象は違ったものに感じられると思います。 そしてこの頃、JBLでは一部、ブルーフレームのユニットが発売されており、この「LX5」もまた、そんなブルーフレームユニットのひとつでした。(ちなみにターミナルがプッシュ式に変更されてました) そしてそのブルーフレーム「LX5」も左下の前期ブルー(箱のサイズがN500H,N400と同じ)と右下の後期ブルー(箱のサイズが少し小さくなりました。ただ正面のパネルは黒です。1963年~64年に変更されたと思われる)とに分かれます。 この時期もほんのわずかなので(1965年までと思われる)ある意味希少なモデルになると思われます。 |
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ただ前期ブルーでは一部変わった仕様があるようで、H.F.GAINのMINとMEDの切り替えで音が変化しないものがあるようです。 (左下:通常のLX5、右下:前期ブルーの一部のLX5) 下回路図LansingHeritageより: http://www.audioheritage.org/vbulletin/showthread.php?6170-Network-Schematics |
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それぞれの内部です。 左写真のコンデンサー(黄身がかった四角いパーツ)が右写真では丸い黄色い筒状のものに変わっています。 おそらくその下にもパーツが埋まっていると思われます。 |
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それから1965年にはお馴染み、真っ黒の「LX5」になります。 (シリアル9000番付近から) 以降はずっとこの形で最終型まで迎えます。 が、中身は少しずつ変化していました。 だいたいの統計ですが参考までに。 |
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6000番付近から〜9000番台くらい 先程の後期ブルーから初期真っ黒がこれにあたると思われます。 |
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10000番台? 真っ黒なロウ?の中に沈められていて確認できません。 このネットワークを搭載している個体は8Ωユニットを搭載して間もないモデルと見られたので、1967年頃かと思われます。 |
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20000〜25000番台くらい。 黄色いロウ?になりました。 抵抗も茶色から白いものになりました。 このネットワークは、ウーファーがまだランサロイエッジの頃の「LE15A」を搭載している頃のものだったので1970年までくらいのものではと思われます。 |
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左:25000〜28000番台くらい。 右:26000〜35000番台くらい? 四角い白いコンデンサー×4のものと、1個だけ円柱のもののパターンです。 このネットワークを搭載したモデルは黒フレームの「LE15A」を搭載している頃のものだったので、1970年前半かと思われます。 |
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28000番付近以降はほぼこんな感じでした。 円柱状のコンデンサーは4343や4311等でも見受けられるので1970年中〜後半のものと推測されます。 |
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いかがだったでしょうか? 「LX5」だけでもこれだけ部品が変わっているのには驚きました。 それぞれ聴き比べるとわずかかもしれませんが、音質の違いはあるのではないかと思います。 しかし、想定していたよりも「N500H,N400,LX5」の内容があったため「N7000」まで調べきれませんでした。 次回にはなんとか報告させていただきたいと思います。 それではまた! |