明けましておめでとうございます。京都商品部の朴 高史です。 2018年1回目のメルマガは、前回に続き、私が、ハイファイ堂で出会ったレアなオーディオ(スピーカー類ばかりになってしまったのですが)の2回目です。 今回は、国産の大型スピーカーシステムです。 まずはこちらから |
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YAMAHA FX-1 1978 |
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日本橋店から京都商品部に移った頃だったと思います。その頃は、メンテ作業以外にも、査定品の引き取り作業なども手伝ってまして、引き取り行った先で、見た目以上に重かったことを覚えています。(重量は76kgです。) 「ヤマハFX-1は、音で、個性的な音ですべてを問います。音のあり方といったようなことで正直にいえば、とやかく言ってもトータルな音の魅力ということでは明らかに一つの巨峰であるJBLやアルテックの良さをストレートに意識し、新しい噴火によって新しくより高い峰を築こうとしています。:具体的な音のキャラクタでいえば、世界的なフィールドの中で全く新しく発想されたサウンドで、とにかく絢爛として伸びやかにラグジュリアスでアトラクティヴなものを志向しており、その限りでは、既に申し分なく高い完成度にあると考えるNS-690?や1000Mといった今までのヤマハらしい音をその延長上でリファインしようというものとは全く異次元にあるものです。」(YAMAHA FX-1カタログより抜粋) ということで、ヤマハが、「JBLの4333を作ると、こうなりました」的なスピーカーがFX-1です。 |
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JBL 4333 1974 |
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スペックの比較です。 4333 再生周波数帯域 35Hz〜20kHz 音圧レベル 93dB クロスオーバー周波数 800Hz 8.5kHz エンクロージャー内容積 127リッター 外形寸法 W600 H780 D510 重量 47kg FX-1 再生周波数帯域 30Hz〜20kHz 音圧レベル 94dB クロスオーバー周波数 800Hz 7.5kHz エンクロージャー内容積 114リッター 外形寸法 W600 H880 D540 重量 76kg |
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重量差は素材違いによるものか、外形寸法は、高さが違い、高域のポイントがかわります。アルニコ磁性体を使用した、贅沢なユニット類やネットワーク、アッテネータまで、すべてが独自開発された意欲作です。(ダイヤフラムはベリリウム製です。)アルミのエクスポネンシャルホーンや、樹脂製音響レンズなどはそっくりな造りです。 今回偶然に、お客様依頼のメンテナンスで、京都商品部にあり、改めて視聴しますと、大型エンクロージャーからくるスケールの大きさと、伸びやかで細やかな中高域音が素晴らしく、正直感動してしまいました。 ライバル企業である、JBLのスピーカーを徹底的に研究し尽くし、それを元に製品化された(カタログでも公表し)稀に見る工業製品かと思われます。しかし、この後発売された、FX-1の廉価版後継モデルFX-3や、1991年に発売された、ヤマハのスピーカーの集大成とされるGF-1では、高域ユニットに1000Mなどと同様のベリリューム製ドーム型が採用されており、ヤマハの音の本流はやはり1000Mの様であります。 では、FX-1で開発されたユニット類はどこへ行ったのかと調べますと、少し後に、改良を加えられ、様々なホーン類と一緒に業務用ユニットとして製品化された様です。そのユニット類には、JBLの名作フルレンジユニットLE-8Tを元に作られた、JA-2070もあります。 |
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YAMAHA FX-3 1979(写真左) YAMAHA GF-1 1991(写真右) |
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YAMAHA JA-2070 1980 |
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画像はYAMAHAウェブサイトより https://jp.yamaha.com/products/contents/audio_visual/hifi_components/hifi-history/other/index.html |
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次はこちら |
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DIATONE 4S-4002P (Monitor-1) 1977 |
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京都店の二階でメンテナンス作業をやってた頃に、商品化の為に入荷しました。やはり、その大きさ、重さは国産スピーカーでは別格です。 |
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スペックです。 再生周波数帯域 20Hz〜35kHz 音圧レベル 93dB クロスオーバー周波数 400Hz 2kHz 7kHz エンクロージャー内容積 303リッター 外形寸法 W662 H1,336 D578 重量 135kg |
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303リッターで、4ウェイ、4スピーカーで、低域は40センチウーファーのパッシブラジエーター型ですので、多少のアンプでは鳴らし熟せないですし、高域部のリスニングポイントの位置も高すぎて、一般のリビングルームにはあまり適さないスピーカーだと思われます。 プログラムソースのデジタル化を見据えた、高音量、ワイドレンジ化に対応すべく開発された業務用モニタースピーカーです。然るべき場所で、然るべき用途で最高のパフォーマンスを発揮するスピーカーかと思います。(狭い作業場で、チェック用のアンプでは正直よくわからなかったです。) |
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エンクロージャーをパッシブラジエーター型から、バスレフ型にし、高域部のリスニングポイントを低く下げて、仕上げを高級にすると、ワイドレンジ対応の80年代のダイアトーンを代表するスピーカーになります。 |
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DIATONE DS-5000 1982 |
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スペックです。 再生周波数帯域 20Hz〜60kHz 音圧レベル 93dB クロスオーバー周波数 300Hz 1.25kHz 4kHz 外形寸法 W635 H1,050 D460 重量 87kg |
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そして、DS-5000を基に、高剛性と高減退特性を極めた、ダイアトーンの集大成とされるスピーカー、DS-V9000が造られます。 |
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DIATONE DS-V9000 1988 |
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スペックです。 再生周波数帯域 18Hz〜80kHz 音圧レベル 92dB クロスオーバー周波数 300Hz 1.25kHz 4kHz 外形寸法 W652 H1,080 D497 重量 125kg |
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このように、ダイアトーンの80-90年代のフラッグシップモデルの元となったのが、4S-4002Pであったと推測されます。 ヤマハやダイアトーンは日本的な音響再生を追求し続けたメーカーかと思われます、次回は違ったアプローチの国産メーカーについて予定してます。では失礼します。 |