お世話になっております、京都商品部の八木です。 いよいよ師走に突入し慌ただしい毎日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか? 事故を起こしたり、風邪を引いたりといった事も増える時期なので今まで以上に気を付けて、良い年末年始を迎える事ができればと思います。 |
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さて、今回のメルマガですが、前回に引き続きJBLの名機「PARAGON」、今回からはユニットについて触れていきたいと思います。 前回のメルマガはこちらから↓ http://www.hifido.co.jp/merumaga/kyoto_shohin/171027/index.html 下写真:ハーマンインターナショナルより http://jbl.harman-japan.co.jp/paragon/img/paragon_052.jpg |
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もうマニアの方には説明はいらないとは思いますが、「PARAGON」は約30年の販売期間中、ユニット構成・仕様の変更がいくつかありました。 おおまかに知られているユニット構成が3通りありまして、 まず初期が ウーファー:150-4C ドライバー:375 ツイーター:075 ネットワーク:N500H,N7000 中期が ウーファー:LE15A ドライバー:375 ツイーター:075 ネットワーク:LX5,N7000 後期が ウーファー:LE15H ドライバー:376 ツイーター:075 ネットワーク:LX5,N7000 という構成です。 下写真:オーディオの足跡より http://audio-heritage.jp/JBL/speaker/paragon.html |
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しかしJBLではユニット自体の仕様変更も度々ありました。 そこでさらに深く調べてみると、もっとたくさんの年代の見分け方ができるように思われましたので、僕なりに推察したことを紹介していきたいと思います。 |
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今回はウーファー編です。 ここはマニアの方々の間では「PARAGON」の値打ちを決める極めて重要なポイントになっていると思われます。 前述した通りウーファーは3種類あります。 初期の「150-4C」、中期の「LE15A」、後期の「LE15H」。 やはりこの初期の「150-4C」が特に人気です。 そもそも初期モデル時代は日本で販売されていなかったため、直接輸入するしか入手方法はなかったので、当然国内にある球数は少なくなってまいりますね。(今では昔に比べ入手しやすくなってきました) |
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そんな「150-4C」は「PARAGON」が発売される以前(1953〜1954頃)からJBLで販売されており、有名なものでは「HARTSFIELD」にも搭載されております。 そんな「150-4C」自体もやはり少しずつ変化があり、僕が調べた範囲でも、見た目上違うものが数種類ありました。 ターミナル部分が半田付のもの、ネジ式のもの、プッシュ式の赤黒の樹脂のもの(この頃の少し太めのこのターミナルは巷では「ファットターミナル」と呼ばれているようです)。 「JIM LANSING」のステッカーが貼られたもの。 フレームがマグネットと同様の縮緬塗装を施されたもの。 「JIM LANSING BY AMPEX」ラベルのもの。 ラベルがシールのもの、プレートのもの。 またそのプレートの中でも[!]マークの○の中が「L」のものと「JBL」のものがありました。 |
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個人的な推測としては、「PARAGON」の発売された1957年時点での「150-4C」は、半田付・ステッカー・ネジ式ターミナルのものは本来「PARAGON」に搭載されていたものとは違うのでは?と推測しています。 それ以前のモデルと推測しています。 「L」マークもカタログ上やマニアの方のお話でも1955年モデルの象徴という話もあるので、そこから推察するに、「PARAGON」の初期の「150-4C」で確実なのは、「JBL」マークのものが間違いないのではと思います。 ただ意外と「L」マークの在庫が初期PARAGONに搭載されている可能性も否定しきれません。 「150-4C」の時代は資料が非常に少ないので確実な事はよくわかりませんので、こういった推察の域を出られません。 またそういうところも、魅力の一つなんだろうと思います。 下左:1955年カタログ表紙 下右:1956年カタログ表紙 LansingHeritageより http://www.audioheritage.org/intro.htm |
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続いては中期モデルにあたる「LE15A」です。 この「LE15A」は1960年に発売された「LE15」の後継モデルで、1962年に発売されました。 一応、カタログやSTEREO SOUND誌などでは1964年モデルの「PARAGON」から中期モデルが始まるとされています。 この頃くらいから国内メーカーの「SANSUI」がJBLの総代理店になるので、国内の「PARAGON」はこの中期モデルから出回りだす事になります。 「150-4C」に比べるとコーン紙の形状(深さであったり、コルゲーションが付いたり)もエッジもマグネットも変わり全く別物です。 ただ「LE15A」は、後継の「LE15H」が発売される1980年までの約18年間という長い期間販売されており、それは「PARAGON」の販売年数の半分以上という事になるので、巷に出回っている大半の「PARAGON」がこの「LE15A」を搭載している事(一般的に認知されている「PARAGON」の音)になりますが、これはこれで長い販売期間のその間に幾度かの仕様変更がなされておるわけで、これもまた非常に興味深いウーファーになる訳です。 |
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「LE15A」も分類すると、エッジがランサロイエッジ(黄色いゴムエッジ(発売当初はもっと白っぽい?)現在は硬化していたり、破損しているものも多いです)のものとJBL定番のウレタンエッジのもの。 抵抗値が16Ωのものと8Ωのもの。 そしてフレームがブルー・グレー・ブラックの3種類あります。 まず年代順に追っていくと、最初の「LE15A」はフレームがブルーフレーム/ランサロイエッジ/16Ωでした。 1965年発売の「C50 OLYMPUS S8R/S7R」の「LE15A」がグレーフレームしかないので、上記の1964年からのモデルという事から考えるとわずか1年程の個体にしか搭載されていないこのモデルがある意味一番レアです。 当社でも確認できたのはわずかです。 シリアルとしては1000番台〜5000番台が確認できました。 その後すぐにグレーフレームに変更されます。 (左列:ブルーフレーム/右列:グレーフレーム(1番上写真のエッジはウレタンエッジに交換されています)) |
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それからまたすぐに大きな節目となる16Ω→8Ωへの仕様変更が1967年に行われます。 抵抗値が変わるのだから音への影響は大きいですね。 グレーフレーム/16Ωモデルも結局この約2年程(1965〜1967)の販売期間と思われますのでなかなかレアです。 (シリアル7000〜10000番台くらい?) このマイナーチェンジでの見た目上ではプレートの表記(16Ω→8Ω)が変わりました。(グレーの色合いも少し変わったのかも?個体差?) そして、それからしばらくしてターミナルの取り付け部分も移動しました。(この間もわずかです。シリアル10000〜12000番台と思われます) その後シリアル13000〜29000番台まではグレーフレーム/ランサロイ/8Ωモデルと思われます。(ウレタンエッジに交換されているものも多数あります) |
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そしておよそ1970~72年頃にはフレームがブラックになり、エッジがウレタンエッジになり、この頃からかコーン紙の質感も変わったように感じます。 ガスケットもこの頃からかコルク素材だったものからウレタン素材のものに変わったようです。 シリアルとしては30000番台のものが該当するようです。 |
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そしてとうとう「LE15H」に!と参りたいとこではありますが、寸前(1978年頃)マイナーチェンジしました。 見た目ではプレートが変わっただけですが、仕様としては結構な変更があったようで、それまでの最大入力が60W→120Wに。 能率も101dB→94dBに。 マグネットの重量も8.8kg→9.1kgになったようです。 シリアルはなぜか10000番台に戻っています。 |
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そして最後のモデル「LE15H」です。 この変換も大きなポイントです。 今までアルニコマグネットだったものが、フェライトマグネットに変更されます。 この後期モデルも「PARAGON」全体で見れば少数なので希少なモデルになると思います。 価値としてはマニアの方はアルニコ支持者が多いですが、これはこれで現代的なソースなどにはマッチしやすく、良いウーファーだと思います。 |
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いかがだったでしょうか? 続けて他のユニットも触れたいのですが、ウーファーでこの調子なので当然ページ数がすごい事になってしまうので、今回はウーファー編という事でご容赦を。 まだまだ推測の域を出ないところも多いので、他にも情報をお持ちの方がいらっしゃれば是非ご教授ください。 それではまた! |