いつもお世話になっております。 ハイファイ堂 京都商品部、滝本です。 年が明けて1ヶ月ほどが経ちましたが、 皆様は如何お過ごしでしょうか? 2016年の幕開けは音楽ファンにとっては 少し悲しい始まりとなってしまいました。 1月10日、デヴィッド・ボウイが この世を去りました。 そして1月18日にはイーグルスのグレン・フライが、 2月3日にもアース・ウインド&ファイアーのモーリス・ホワイトが亡くなっています。 それぞれジャンルは違っても音楽業界に多大なる影響を与えてきた方たちです。 心からご冥福をお祈りいたします。 |
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とりわけ、デヴィッド・ボウイ逝去に対しての反響は大きかったように思えます。 祖国イギリスでは現首相や元首相までもがいち早く追悼の意をあらわしたり、 その範囲は音楽業界内に留まるものではありませんでした。 そうです、今更ながらに気付かされるのですが、 彼はひとつの音楽スタイルにとらわれる事なく、 常に新しい音楽的挑戦を続けたとても創造的なミュージシャンであり、 また、自身の活動の中で架空のロックスター『ジギー・スターダスト』などを 演じていたように、 国内外の映像作品に出演する俳優でもありと、 その活動が広い分野で多大な影響を与える芸術家であったと。 |
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俳優としての活動が腰掛け的でなかったのは、 日本人にとっては大島渚監督の映画『戦場のメリークリスマス』出演時の エピソードがわかりやすいのではないでしょうか。 今やそうそうたるメンバーが出揃っているこの映画ではありますが、 当時のネームバリューから考えるにデヴィッド・ボウイのそれは絶大なものでした。 考えようによっては彼は力を抜ける立場にあったわけです。 そんな中で、大島監督は映画音楽を当初は坂本龍一ではなく デヴィッド・ボウイに依頼していました。 当時1980年代、すでにカルトスターとしての地位を確立していた彼に それを望むのは至極当然な流れだと思います。 しかしデヴィッド・ボウイは悩む事もなくその依頼を断ったそうです。 ただ「演技に専念したい」と。 |
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そんな何事にもストイックに取り組む彼だったからこそ 多くの人が敬愛し刺激され影響されてきたわけですが、 その分だけ数多くのアーティストによる楽曲カバーが存在しています。 一部ではありますが、ご紹介させて頂きたいと思います。 ものすごく個人的な感想も添えて。 |
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「Heroes 」 1977年発売のアルバム『Heroes』の表題曲。 単純な英雄賛歌といった類の曲ではなく、聞く人のとらえ方によって 今現在へのあきらめの歌か もしくは明日への希望の歌にとその印象は変わってきます。名曲の証です。 アルバムとシングルバージョンで長さも違い、ショートバージョンでは歌詞も略されているのですが、 何度も聞いているとこちらの方が より分かりやすく曲の本質をあらわしているようで好みです。 https://www.youtube.com/watch?v=Tgcc5V9Hu3g |
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「Heroes 」 - OASIS イギリス・ロックバンドの雄、 OASISによるカバー。 この曲は中盤ボーカルのオクターブが上がるところが 私的にはポジティブに感じられる点なのですが、 OASIS版は出だしからいきなりオクターブあがったまま始まります! さすがのノエル兄さん、明日への希望たっぷりといった感じです。 https://www.youtube.com/watch?v=iEtpxzQ-KxI |
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「The Man Who Sold The World」 1970年発売のアルバム『The Man Who Sold the World』の表題曲。 当時、アメリカ先行発売時にジャケットに問題がありしかしその差し替えが 間に合わず、別ジャケット版がイギリスで発売された後、 また別ジャケット版が再度発売されるという何とも紆余曲折を繰り返したアルバムです。 その混沌が曲にもあらわれているのでしょうか、 なんとなく物悲しいメロディーと 難解な歌詞は絶妙なブレンドで 曲に深みを与えてくれています。 https://www.youtube.com/watch?v=HSH--SJKVQQ |
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「The Man Who Sold The World」 - Nirvana こちらはグランジの雄、 Nirvanaによるカバーです。 下部リンク先にはMTVアンプラグドにての演奏の様子が。 イントロから数秒間のギターで 「ニルヴァーナだっ」と 思えてしまうのがすごいです。 原曲は壊さずに自分達の色を表現出来ている良カバーではないでしょうか。 https://www.youtube.com/watch?v=fregObNcHC8 |
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「Starman」 1972年発売のアルバム 『The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars』に収録。 (邦題 ジギー・スターダスト) このアルバムの中でデヴィッド・ボウイは異星からやってきたスーパースター「ジギー」を演じる という形で自身の世界観の表現方法を 確立したように思います。 実際デヴィッド・ボウイを想像する時に ジギーのような奇抜で中性的なカルトイメージを思いおこす方は多いのではないでしょうか。 そのイメージをそのまま伝える どこかおとぎ話のような曲です。 https://www.youtube.com/watch?v=4B5zmDz4vR4 |
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「Starman」 - 布袋寅泰 日本国内からも。 布袋寅泰によるカバーです。 デヴィッド・ボウイ来日公演時には自ら名乗り出て前座を務めたりと、 それこそ大きな影響を受けていたであろう彼のカバーは デヴィッド・ボウイへの憧れの気持ちが 強く前面に出てきているかのような演奏です。 電子音を多目にプラスしている辺りなどはこの歌を現代なりに自分なりに必死に解釈しようと デヴィッド・ボウイに語りかけているようで、敬愛ぶりがうかがい知れるようです。 ジャパニーズイングリッシュなのはご愛嬌で。 https://www.youtube.com/watch?v=8iSeQnWvMOE |
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他にも本当にたくさんのアーティストが彼の歌をカバーしております。 あらためてその曲を探していると、まるでトリビュートアルバムで 世界中のアーティストが彼を追悼しているかのように思えました。 BON JOVI 「Heroes」 https://www.youtube.com/watch?v=emnBPZu-gL4 Franz Ferdinand 「Sound And Vision」 https://www.youtube.com/watch?v=BwmZjQ8mkIE Lenny Kravitz & Iggy Pop 「Rebel Rebel」 https://www.youtube.com/watch?v=ZRCPWN10al8 |
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先日まで京都商品部においてTANNOY Canterbury(カンタベリー)の メンテナンスを行なっておりました。 気品を感じさせる英国家具のような造形の中に パワフルなアルニコマグネットの38cm同軸型2ウェイユニットを内包し、 そこから繰り出される音はその容姿とあいまって まるでホールで楽器が鳴っているかのようなやわらかい音を聴かせてくれます。 |
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その名のカンタベリーはイギリス・イングランド南東部ケント州東部の地名です。 そして、イングランド、ロンドン南部のランベス・ロンドン特別区にあるブリクストン。 ここが彼、デヴィッド・ボウイの生まれ故郷でした。 同じ故郷を持つこのスピーカーは 同じように英国紳士の気品とたたずまいも持っていた彼の曲を どのように聴かせてくれるでしょうか? きっと世界中のアーティスト達が歌い聴かせてくれたように カンタベリーも同郷の朋を惜しんで、 いつも以上に優しいデヴィッド・ボウイを聴かせてくれる、そんな気がしました。 |
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最後にいま一度、 惜しくも去っていってしまう偉大な音楽家たちに感謝を述べたいです。 あなた達が素晴らしい音楽を生み出してくれたおかげで 私たちは音楽を好きになることが出来たし これからも私たちは人生に素晴らしい彩りをそえる事が出来るのだろうと思います。 本当にありがとうございます。 それではまた。 |