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ハイファイ堂メールマガジンをご覧のみなさま、こんにちは。 秋葉原店の北村です。 |
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オーディオ機器の使いこなしについて、「“設置”で音の八割が決まる」という話を聞いた事があります。 音に納得がいかないと、ついトーンコントロールなどの調整機能に頼りがちですが、ベテランはまず設置環境を整えるところから見直す・・・。 良い音が出ているなぁと感じる、熟練オーディオファンのセッティングを見ると、いつも共通しているのは「設置」がしっかりしている事。スピーカー角度のセッティング等はもちろんですが、何よりオーディオ機器の設置場所の安定性が高い。 今回のメルマガは設置の基本、安定した置き方を目指そうという事で、「ガタつきを無くそう!」をテーマにお話し致します。 |
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木材という物は環境や経年で微妙に形が歪んでいきます。一見、平らに見えるフローリングの床もけっこう歪んでいるもので、例えば重たい家具の部分が僅かに沈んでいたり、湿気の多いところが歪んでいたり…。 家具・棚等、はじめにしっかりと設置したはずなのに、いつの間にかガタつきや隙間があるぞ…なんていう経験はありませんか。オーディオ機器の設置場所もそういった変形の影響を受けている可能性があります。 |
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オーディオ機器は総じて設置にガタつきがあると音質に悪影響が出ます。 本来しっかりと支えられているべきポイントが浮いていたり不安定な状態にあると不要な振動が発生し、ノイズの原因となります。 それよりも重要な点は、スピーカースタンド等がガタついていると、地震災害時に転倒しやすくなる可能性があるという事です・・・。 つまり基本的にオーディオにとってガタつきは百害あって一利無しです。 |
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まずはコンポーネントの置き場所から見ていきましょう。 オーディオ機器の下にはしっかりとしたオーディオボードを設置するのが理想です。オーディオ専用で設計されたボードは耐久性が高く、適度な重量で安定したセッティングが可能です。 隣の写真はオーディオラックの棚板。オーディオ用というだけあって頑丈なつくり。 すべての機器がこういったラックやボードに安定した状態で設置できれば理想的ですが、スペースや予算的になかなかそうもいかないでしょう。 |
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オーディオ用として売られているボードはしっかりとした作りの物なので大丈夫だと思いますが、ホームセンターで売っているような汎用ボード、または棚の天板などの多くは平面性に難があります。 経年劣化での反りや歪みが大きく、特にオーディオのような重量物を乗せるとなると、どうしても形が歪んできます。 隣の写真はホームセンターで入手した木製汎用ボード。 手軽で使いやすいので、これに近似した物をオーディオ用に使っている方も多いと思います。 |
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例えばこちらのボード。 一見まっすぐに見えますが、隅っこから直線を引いていくと・・・ (この段階では棚の天面と方眼定規下の線が重なっている) |
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中央部分ではかなりの歪みがありました。 (棚の天面と方眼定規下の線が離れ、間に隙間ができている) ボードの材質により程度は違いますが、このように歪みなどの変形は経年で必ず生じてくるものだと思っていいでしょう。 この歪みによりオーディオ機器の脚部とボードの間に隙間ができてしまい、ガタつきの原因となります。 |
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そんな隙間に活躍するのが「スペーサー」と呼ばれるもの。 要は、物と物の間や隙間に挿入するシート状のもので、音質に配慮したオーディオ専用のスペーサーというものもあります。インシュレーターの中には付属品としてスペーサーがついていたりする事もありますね。 用途にピッタリのサイズや材質があればいいのですが、残念ながらまだまだ種類が少ないようです (写真はフォックのカタログ) |
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そんな時には、この薄型ゴムシートがオススメです。 ホームセンターで入手でき、厚みの種類が豊富でしかも安価。滑り止めの効果も期待できます。 高価なオーディオ用スペーサーと違い躊躇なく裁断でき、気付いた時にサッと差し込める手軽さが魅力。 写真は用途に合わせてカットした我が家のストックの一部。 |
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あっ ボードに置いたオーディオの脚元に隙間が・・・ わりとよく見る光景。 |
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ゴムシートを適当なサイズにカットして差し込んだ状態です。 脚下の隙間が埋まり、ガタつきが解消しました。 脚部にあたる部分の上から本体を一箇所ずつ押してみて、無駄な遊びがなくなる厚みのシートを選ぶのがポイント。 |
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シートは分厚いものだと、逆に差し込んだ反対側の脚部が浮いてしまったりするので、なるべく薄めの物が良いでしょう。 オススメは0.5mm厚のシート。 ただ、いろいろなホームセンターを見ても1mm厚以下の物はあまり売っていないようなので、もし発見したら一枚買っておいて損はないと思います。 |
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ボード自体と床など設置面の間にガタつきがあれば、そこも埋めましょう。 写真は御影石ボードと設置面の隙間を埋めたところ。 |
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もちろんスピーカー下の隙間にも使えます。 インシュレーターを利用する場合、3点支持ならば原理的にガタつきは出ませんが、4点支持の場合や、下に敷いたボード自体に隙間がある場合に有効。 ゴムシート、万能です。 |
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フィギュアのガタつきにも使えます! …これは関係無いか。 |
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さて、こちらはスピーカースタンドの脚元。 このスタンドはスパイクで4点支持する構造になっていますが、スパイク部分はよく見るとネジ式になっています。 スタンドを揺さぶってみて、もしガタつきがあっても、このネジで解消できます。 |
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このようにネジ部分を締めていくと、支持部分の高さが調節できます。 4点それぞれでうまく調節すればガタつきの無い設置ができる設計です。 この部分、意外と見過ごしている人が多いようです。はじめに調整したらそれっきり放置しがちですが、スタンドのガタつきは音質悪化どころかスピーカーの落下につながる可能性もあるので要注意。定期的にチェックしたいところです。 また、調整時は安全のため、スタンドからスピーカーを下ろして作業しましょう。 |
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それでもやっぱりコンポーネント本体が大きくガタつく場合は、本体底面の脚部が怪しいですね。 本体を裏返すと、備え付けのインシュレーターがあります。 |
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中を覗くと、内部に固定用のネジが見えます。 もしかしたらこれが緩んでいるのがガタつきの原因かも・・・? |
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ドライバーで増し締め。これでガタつきが無くなれば良し。 購入から十年以上経っているような機器があれば確認してみましょう。 (その他ネジ類についてハイエンド機ではトルクが決まっている場合もあるので、無理な締め過ぎには注意してください) |
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★おまけ オーディオ機器の取扱説明書を見ると必ず記載されているのが、「傾いた場所に置かない事、不安定な場所に置かない事」という注意。 できるだけ水平な場所に置いた方が良いというのは、「水準器」が搭載されているレコードプレーヤーがある事からもわかります。レコードプレーヤーやCDプレーヤーは自身が回転機構を持ち振動を発生させるし、さらには読み取りの精度まで要求される訳ですから当然といえば当然かもしれませんね。 今回、ボードのガタつきを解消するついでに、水平も出してみました。 |
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写真は、先ほどご紹介したゴムシートを使ってボードのグラつきを無くした時の状態。 水準器をあててみると、中のクウキが左に寄りました。右側が若干沈んでいるようです。 |
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ボード下に挿入したゴムシートの厚みや位置を調整、水準器で計測。 さらに厚紙を挿入して微調整、また水準器で計測、・・・これを繰り返して水平に近づけていきます。 |
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見事、水平になりました! |
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水平になったボードの上に、プレーヤーを乗せて再計測。 ここでも水平が確認できたので、プレーヤー自体の脚部にズレは無いようで安心しました。 これにより音質が向上したかどうかは判別不能でしたが、精神衛生的な面では「あり」な一手かと思います。 |
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はじめに設置してからは、なかなか再確認する事のない部分に注目してみましたがいかがでしたでしょうか。 セッティングからグラつきを徹底排除した結果、音質的には、腰の座った安定した低域再生が実現しました。また、不要な振動から来るノイズが低減したためか、音のフォーカス感も向上。 「“設置”で音の八割が決まる」というのも、どうやら言い過ぎではないようですね。今回ご紹介した小ワザで微調整するもよし、思い切ってハイファイ堂でオーディオボードを買うもよし、とにかく面倒がらず、手の届くところだけでもやるべし、です。 ちなみに今回すべて確認したところ、我が家でも2箇所、若干のガタつきが発生しているところがありました。こういった部分には気をかけていたつもりでしたが、何とも経年の歪みというものは侮れませんね。気温・湿度が大きく変化する季節の変わり目あたりに、また確認してみようと思います。 それでは、今回はこの辺で失礼致します。みなさまのご来店を心よりお待ちしております。 ハイファイ堂秋葉原店 北村 ●ハイファイ堂秋葉原店:〒101-0021 東京都千代田区外神田5-3-12清和ビル1階 TEL (03)5818-4751 |
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