レコードのビニヤケハイファイ堂メールマガジン第738号ハイファイ堂レコード

レコードのビニヤケ
ハイファイ堂メールマガジン第738号ハイファイ堂レコード

こんにちは、レコード店の片岡です。春の陽気と一緒に花粉もやってきました。私はかなり重度の花粉症のため、毎年この寒さと引き換えに花粉がやってくることに複雑な気持ちを抱いてしまいます。いつもマスクと薬を常用して凌いでいたのですが、今年から医者に勧められステロイド点鼻薬も使用しています。これが何で今まで使用しなかったんだと毎朝自分を責める程とても効果がありまして、久しぶりにこの春先の陽気を楽しめています。
今回はレコードの状態について、「ビニヤケ」を取り上げたいと思います。このビニヤケ、レコードを持っていないとあまり馴染みの無い言葉かも知れません。実際レコードを持ってる方の中でも何となくという人もおられるのではないでしょうか。
ビニヤケとは塩化ビニール焼けのことでレコード盤の艶が無くなり、写真のように白濁してしまったレコードのことを言います。写真のものは全面ヤケてしまったものになります。ラベルと音溝の間の内周を見るとその白濁がよく分かります。レコード店で塩ビ焼け、くもり、グロス、スモークなどと記述があるものはすべてこのビニヤケをしているものになります。

レコード盤がビニヤケをしてしまうと、基本的にザザーっやササッというノイズがバックグラウンドで入るようになってしまいます。この現象をカゼヒキとも呼びます。何となくレコードが風邪っぽいっという意味でしょうか。実際色々聴き比べしますと、かなり濃く曇っている盤でも意外とノイズが聴こえないものから、薄いけどしっかりノイズが入るものまで、案外針を落とさないと分からないところもあり、まさにレコード屋泣かせです。
上の写真ほどではないが、うすくヤケている盤です。光にかざすとビニヤケをしていることがはっきりと分かります。ノイズは音数の多いところでは聴こえない程度でしたが、カゼヒキ盤であることは変わりありません。
では何故このようなビニヤケが起きてしまうのか。それは塩ビに含まれる可塑剤（塩ビを柔らかくする添加物）が主な原因と言われております。レコードをプレスする際にレコード盤がスタンパーに付着するのを防ぐ目的で塩ビに可塑剤を添加します。これが年数を経過し浮き出てしまったものが一つ。もちろんこれはすべてのレコードに起こることでは無く、恐らく元々の塩ビの質やプレス工場にも起因していると思います。また次の保存状態とも繋がりますが、空気に触れないところや、高温になる場所などで環境の良くない場所に置いていたことで反応してしまったケースも考えられます。50年代のジャズのレーベルやヨーロッパのレーベルに比較的カゼヒキ盤が多いこともこれらが影響していると思います。上の写真のレコードはこれが原因と思われます。
もう一つは、保存状態です。ビニール付きの内袋にレコード盤を入れ、高温多湿の場所で長い間保管することにより、ビニールも塩ビのため(これも可塑剤の可能性が高いです）がレコード盤と反応し付着してしまったもの。これはヨーロッパ系のレコード盤に多く、元々紙のインナースリーヴの内側にビニールがついているものが付属だったからだと思います。また日本特有かもしれませんが、発売当時に日本楽器やヤマハなどが付けていた厚手のビニールカバーがあり、取り出し側に折り込むタイプだったため、見事にこの折り込んだ箇所がレコード盤と反応してしまったタイプです。前者は左下の写真、ビニールの痕が斑らに付着してしまっています。後者は右下の写真。折り込んだ箇所左側が三日月を形成しています。

ビニヤケはどのような洗浄をしても直りません。レコードの中にはカゼヒキ盤ばかりの作品もあり、稀にカゼヒキ無しの盤が出て来るとその作品の通常価格の何倍にもなることもあります。ただ先にも書きましたが、意外と見た目とノイズが一致しないことも多いです。販売店がビニヤケ有や塩ビ焼けなどしか書いていない場合は、一度試聴をすることをお勧めします。

大須本店

〒460-0011 愛知県名古屋市中区大須3-14-37 (052)249-2600

秋葉原店

〒101-0021 東京都千代田区外神田5-3-12清和ビル1F　3F (03)5818-4751

日本橋店

〒556-0005 大阪市浪速区日本橋 4-6-9 (06)4396-7611

福岡店

〒810-0041 福岡市中央区大名2-6-40 文學の森ビル1F (092)724-3681

営業時間

11:00～20:00／福岡店のみ水曜定休

お問い合わせはこちらをクリック

株式会社ハイファイ堂トップページ

こんにちは、レコード店の片岡です。春の陽気と一緒に花粉もやってきました。私はかなり重度の花粉症のため、毎年この寒さと引き換えに花粉がやってくることに複雑な気持ちを抱いてしまいます。いつもマスクと薬を常用して凌いでいたのですが、今年から医者に勧められステロイド点鼻薬も使用しています。これが何で今まで使用しなかったんだと毎朝自分を責める程とても効果がありまして、久しぶりにこの春先の陽気を楽しめています。
今回はレコードの状態について、「ビニヤケ」を取り上げたいと思います。このビニヤケ、レコードを持っていないとあまり馴染みの無い言葉かも知れません。実際レコードを持ってる方の中でも何となくという人もおられるのではないでしょうか。
ビニヤケとは塩化ビニール焼けのことでレコード盤の艶が無くなり、写真のように白濁してしまったレコードのことを言います。写真のものは全面ヤケてしまったものになります。ラベルと音溝の間の内周を見るとその白濁がよく分かります。レコード店で塩ビ焼け、くもり、グロス、スモークなどと記述があるものはすべてこのビニヤケをしているものになります。

レコード盤がビニヤケをしてしまうと、基本的にザザーっやササッというノイズがバックグラウンドで入るようになってしまいます。この現象をカゼヒキとも呼びます。何となくレコードが風邪っぽいっという意味でしょうか。実際色々聴き比べしますと、かなり濃く曇っている盤でも意外とノイズが聴こえないものから、薄いけどしっかりノイズが入るものまで、案外針を落とさないと分からないところもあり、まさにレコード屋泣かせです。
上の写真ほどではないが、うすくヤケている盤です。光にかざすとビニヤケをしていることがはっきりと分かります。ノイズは音数の多いところでは聴こえない程度でしたが、カゼヒキ盤であることは変わりありません。
では何故このようなビニヤケが起きてしまうのか。それは塩ビに含まれる可塑剤（塩ビを柔らかくする添加物）が主な原因と言われております。レコードをプレスする際にレコード盤がスタンパーに付着するのを防ぐ目的で塩ビに可塑剤を添加します。これが年数を経過し浮き出てしまったものが一つ。もちろんこれはすべてのレコードに起こることでは無く、恐らく元々の塩ビの質やプレス工場にも起因していると思います。また次の保存状態とも繋がりますが、空気に触れないところや、高温になる場所などで環境の良くない場所に置いていたことで反応してしまったケースも考えられます。50年代のジャズのレーベルやヨーロッパのレーベルに比較的カゼヒキ盤が多いこともこれらが影響していると思います。上の写真のレコードはこれが原因と思われます。
もう一つは、保存状態です。ビニール付きの内袋にレコード盤を入れ、高温多湿の場所で長い間保管することにより、ビニールも塩ビのため(これも可塑剤の可能性が高いです）がレコード盤と反応し付着してしまったもの。これはヨーロッパ系のレコード盤に多く、元々紙のインナースリーヴの内側にビニールがついているものが付属だったからだと思います。また日本特有かもしれませんが、発売当時に日本楽器やヤマハなどが付けていた厚手のビニールカバーがあり、取り出し側に折り込むタイプだったため、見事にこの折り込んだ箇所がレコード盤と反応してしまったタイプです。前者は左下の写真、ビニールの痕が斑らに付着してしまっています。後者は右下の写真。折り込んだ箇所左側が三日月を形成しています。

ビニヤケはどのような洗浄をしても直りません。レコードの中にはカゼヒキ盤ばかりの作品もあり、稀にカゼヒキ無しの盤が出て来るとその作品の通常価格の何倍にもなることもあります。ただ先にも書きましたが、意外と見た目とノイズが一致しないことも多いです。販売店がビニヤケ有や塩ビ焼けなどしか書いていない場合は、一度試聴をすることをお勧めします。

詳細検索