こんにちは。大須本店の佐々木です。ハイファイ堂でご購入頂くお客様の中には、ジャズ喫茶などのお店用のオーディオを買っていかれる方も多くいらっしゃいます。ジャズ喫茶までいかない場合には、店内用のオーディオというと軽いものなら、BOSEのスピーカーが人気です。しかし中には本格的に音質を重視されてご購入されるお店もあります。ジャズ喫茶に関しては他でもご紹介されていますので今回はあえてその文脈から外れた形の事例を2つご紹介したいと思います。 |
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まずご紹介するのは名古屋の老舗CLUB MAGOです。 MAGOはサブに天井吊り下げ式ツイーターとしてJBLの077を導入するなど音質に強いこだわりを持ち、圧倒的な音圧とクリアなサウンドで国内でも屈指の音が良いCLUBです。 そんな普段から音が良いMAGOですが、先日クリプッシュホーンとレヴィンソン、カートリッジはSPUという、ハイファイオーディオのサウンドにさらにこだわったをイベントが開催されました。 通常クラブで流される音の質と私たちが慣れ親しんでいるハイファイオーディオとの間にはやはり違いがあります。今回のイベントでクラブミュージックとハイエンドオーディオに境界線はあるのか?あるとすればその違いは何なのか?そんな疑問に答えを見つけるべく、私は深夜の新栄に出向いたのでした。なんちゃって。 |
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↓以下イベント詳細コピペ Tones -High End Audio × Dance Music Party- [ HOUSE and any dance music. ] □10PM〜 □ADV: 2000YEN. DOOR: 3000YEN. MUSIC BY: CALM “Tones” Bound for Everywhere 出張版 CalmレギュラーパーティーBound for Everywhere出張版、移動式良音パーティーTones!!久々の開催です◎今回はMAGOのシステムを普段とはガラっと変えて、新たな音楽体験へと誘います。 KLIPSCH KLIPSCHORN KBWO Mark Levinson No.23L Mark Levinson No.26L CSE E-800. SPU-100. EQA-777. などなど。カートリッジは今のところ、SPUを使用する可能性が高そうです。 ダンスミュージックを中心とした良質な音楽を、その日鳴らせる精一杯の解像度と音質で、レコードの溝から解放していきます◎ |
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ところで、なぜクリプッシュホーンとレヴィンソンなのか?それにはハウス(クラブ)ミュージックの誕生と深い関わりがあるのです。 |
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知っている方は知っていますし、知らない方に説明するのは恐らく膨大な文章になってしまうので、ウルトラ省略しますが、早い話、ハウス(クラブ)ミュージックの基礎を築いたデヴィッド・マンキューソというアメリカのアーティストが使っていたのがクリプッシュ・ホーンとレヴィンソンだったのです。 |
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クラブというと多分知らない方には、DJがレコードコスったり、ラップしたり、お酒飲んで酔っ払って騒いでいる、ぐらいのイメージだと思います。実際そういう側面もあるし、それはそれで素晴らしいものですYO でもそれとはまた別の側面もあって、音楽好きが集まる、純粋に良い音を求めに行く場所でもあるのです。(それはおそらくかつてのジャズ喫茶のように。) デヴィッド・マンキューソはそういうクラブミュージックの音的側面を代表する人物でもあります。 |
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デヴィッド・マンキューソ |
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ハウスミュージックをはじめとする今日のクラブミュージックの歴史を知りたい方はドキュメンタリー映画「MAESTRO」を観ると良いですよ。 |
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前置きはこのぐらいにして、当日の様子をレポートします。MAGOの様子はこんな感じ↓ 幻想的な雰囲気。クリプッシュホーンはダンスフロアーを取り囲むように4台設置されていました。 |
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クリップシュは上側のミッドとツイーターのホーン部が台によって50cmほど、高く設置されていました。(非常にわかりくい写真でごめんなさい。当日カメラが故障して急遽携帯で撮影したものです。無念。) |
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通常のクリプッシュ |
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MAGO特別仕様(風船でデコレーションされています)クリップシュホーンはスピーカーを壁の角において、低域を反射させる特殊な構造をしています。今回のイベントでは、角には置かずにスピーカーの裏側に反射盤が用意されていました。白っぽいのがそれです。 |
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中高域部が高くなっていても音に繋がりの悪さ等の不自然さは感じませんでした。DJのCALMさんの事前の宣言どおり、効果音が左右に揺れるようなトリッキーな曲がかかり、4台で囲まれているだけあって、音がダンスフロアーを飛び回ります。空間に3次元的に浮かび上がる様はレヴィンソンの力もあるのかもしれません。 音質は言わずもがな。クリプッシュを聴くのはこれで3度目ですが、アンプが違っても独特の鳴り方は変わりません。打楽器は生々しく野生的に鳴り、シンセサイザーは太く幻想的に鳴ります。 野性味と幻想性を併せ持つのがクリプッシュの最大の特徴です。 それで音に存在感があります。まるで音が物質化しているかのようです。この物体のような音像は最新のオーディオにもない唯一無二のものだと思います。 |
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普段のMAGOと違って感じた点 1 ダンスフロアー中央に自然と人が集まる。ダンスフロアーの外に行くと魅力は半減。お客さんの一人が「音の奪い合い!」って叫んでました(笑) |
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2 男性はじっくり味あうように、女性は激しく踊っていた これは必ずしも皆が当てはまっていたわけではありませんが何となくそう感じました。 ちなみにクリプッシュホーンを買うのが夢だと言っている女性の方もいらっしゃいました。ハウスミュージックには男性の同性愛との関わりが強くあるのですが、女性の感性を強く刺激するのかもしれないなぁ、と思ったりしました。 |
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クリプッシュホーンを使った通称「ロフトスタイル」のイベントで必ず湧き上がる議論に、クラブにしては音が小さすぎるという問題があります。 個人的には全然感じませんでしたが、イベント途中から参加した人がやっぱり音が小さい、って言ってました。 この感じ方の違いはどこからうまれるのかなぁとイベント以降ずっと考えてきましたが、一つの仮説が浮かびました。 実はDJのCALMさんがはじめに流した曲はラヴェルの「ボレロ」だったんです。ボレロは最初が一番小さいピアニッシモから始まり最後が一番強いフォルテで終わります。曲全体で一つのクレッシェンド(だんだん強く)で構成されています。 それでイベントのはじめから参加した私は耳が慣らされたのではないか、、、そういえばCALMさんのホームページに今回のイベントに関して、できればスタートから来てください、って書いてありました。狙っての事だった可能性は低くないように感じます。このような選曲の気配りができるのはDJという存在がいるからであって、ただ良いオーディオで聴くのと最大の違いになります。 |
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イベントの企画者の方にもお話を伺いましたが、10年かけてクリプッシュを集めた話をはじめ、音楽愛をひしひしと感しました。ちなみに feel@adayinthelofe.co.jp にお住まいの地域(名古屋、一宮など)を入力してメールを送ると、イベントのインフォメーションを送ってもらえるようです。オーディオ趣味は個人的なものなので、なかなか他人と繋がる機会がないので、これをきっかけに良い音と人との繋がりが持てるようになれば良いのではないでしょうか。 関東方面の方は今回DJをしたCALMさんの関係のパーティーに参加したら良いと思います。CALMさん自身、ハイファイオーディオに強いこだわりを持ったDJです。 CALMさんの使用機材↓ http://www.music-conception.com/calm/party/ |
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クリプッシュを使ったイベントは常時開催されているわけありませんので、チャンスがないとなかなか聴くことができませんが、名古屋には同じDJスタイルでALTECのバルセロナで音楽が聴けるカフェバーが4月に開店したのでご興味がある方はこちらもお勧めします。 mi casa su casa 名古屋市中区千代田3-8-10 万長ビル 地下1F 水曜定休日 18時〜3時 |
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使用機材 ALTEC/BARCELONA ALTEC/128A MCINTOSH/C26 DJミキサーにはUREIのヴィンテージミキサーを使用。 |
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名古屋で活動するDJ UUUさんがマスターを勤めます。UUUさんがDJで培ったジャンルレスな選曲を真空管のALTECサウンドで聴ける現代版LOFT的なお店になります。 |
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巷にあるヴィンテージオーディオに凝ったお店というとジャズかクラシックのイメージが強いので、このようなお店は大変貴重です。 ゴールデンウィーク中の5月4日には18時〜フランク・ザッパナイトが開催されるようです。 UUUさんによると、女子にもうけるお洒落なザッパナイトということで、、、私が「お洒落なザッパ???」と考え込んでると、 UUUさん「でしょう?想像できなくて気になるでしょう?」とニヤリとされていました(笑) こだわりの選曲を楽しむことが出来るのがDJスタイルをとっているお店の良いところです。 名古屋にこのようなお店ができたこと、またハイファイ堂として関わることが出来たことが本当にやっていてよかったなぁと思いました。いままでオーディオというと30代の私からすると、年齢的に上の方と接する場合がほとんどですが、このような私と同世代の方がオーディオにこだわりを持ち活動されていることが、何よりも嬉しく、今後が楽しみです。 |