お世話になっております、京都商品部の八木です。 またもや大型台風が日本列島を荒らしていきましたが皆様無事にお過ごしでしょうか? 私事ですが、今年の東京モーターショーではトヨタのフラッグシップ機である「CENTURY」が展示されているとの事で、見には行けないのですがどんな仕上がりになっているのかと最近は非常にワクワクしております。(間違っても買えませんが...) フラッグシップと言われるだけに現行のCENTURYは受注生産で、ボディの溶接・塗装・組み立て、シートや本木目のパネルなどの内装材もそれぞれの熟練の職人さん達による手作業で仕立てられているという、まさしく工芸品です。 何と言っても30年ぶりのフルモデルチェンジです。 さてどんな内容になるのやら・・・。 左:Goo-netより http://www.goo-net.com/car/TOYOTA/CENTURY.html 右:クリッカーより https://clicccar.com/2017/10/06/518281/ |
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さて今回のメルマガでは同じくJBLのフラッグシップ機であった「PARAGON」について、当社の入荷履歴を元に調査してみました。 まず簡単に「PARAGON」の説明ですが、1957年に発売され1988年に販売終了になった、約30年の販売期間中、こちらも同じく職人の手作業によって組み立てられているJBLのフラッグシップスピーカーです。 フラッグシップというだけあってサイズも価格もビッグです。 1957年発売とカタログなどには掲載されていますが、実際は57年発表で58年から販売されていたとかいう話もあります。 1958年というと音楽がステレオ化された時代です。普通ステレオというとペアのスピーカーが左右に配置されているイメージですが、この「PARAGON」は一台をセンターに配置し、左右からステレオ再生するという一風変わったスピーカーです。 細かいウンチクやスペックはいろんな雑誌やWebページで紹介されているので一旦置いときまして、今回はそんな「PARAGON」が約30年程の販売期間の中でどう変化していったのか、そこらへんを掘り下げてみたいと思います。 |
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「PARAGON」は巷では大まかに初期・中期・後期と認識されており、特に初期はマニアの方達の間では大変人気があります。 ただ外観上で、パッと見では初期なのか中期なのか後期なのか、その違いはとてもわかりにくいです。 とりあえずは変化した部分を正面からあげていきたいと思います。 まず最初にわかりやすいのは本体左側にあるバッジ。 初期のモデルは[!]、中期モデル以降(67年頃?)は[JBL]になっています。 ただ初期のモデルには付いていないモデルもあり、このへんはまだ調査中です。 後から付け替えられるところでもあるので、ここだけで判断せず、他の場所もよく見ていきたいと思います。 |
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続いてツイーターのついている窓に貼られているサランネットです。 初期のものと中期以降のもので素材が変化しています。(左:初期、右:中期以降) ここの部分は張り替えるのには中々の手間がいるので、今まで取り扱った中では交換されているのはほぼありませんでした。 |
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正面からわかる部分はこれくらいですが、サイズが年代により少し異なるそうです。 実測した台数はあまりありませんがカタログによると、 50年代は「W276.8×D622×H857mm」くらい、 60年代は「W263.2×D611×H895mm」くらい、 70年代以降は「W274.1×D609×H914mm」くらい、 だそうです。 奥行き(D)と高さ(H)に関しては、実測が測りにくいというのと、一台一台がハンドメイドの商品という事もあるので、多少の誤差はありそうですが、幅に関してはほぼ正確に測れそうなので、ここも一つの基準にしてみてもいいと思います。 続いて背面に参ります。 |
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背面はわかりやすいです。 上から順に初期、中初期、中期・後期です。 初期の頃はネットワークが縦の配置になっているのが特長です。 それが中初期になるとエナジャイザーと呼ばれるアンプを取り付けられるスペースが現れます。 そして中期の中頃から最終型までが3枚目の写真のようなバッフルになります。 ただ見た目の上ではこの3種類ですが、エンクロージャの構造材の組み合わせが5種類ある事にも気が付きました。 中期以降は底面が合板・それ以外はパーティクルボードなのですが、初期では古い順に全合板、天板/側面合板・リア/底パーティクルボード、天板合板・それ以外パーティクルボード、全パーティクルボード、とあるようです。 初期は球数が全然ないので確証はないですが、他のウェブサイトなどからも調べられるだけの情報から確認したところ、シリアル順に追うとこのようになっていました。 (下写真は中期モデル) |
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またシリアル番号の表示もいくつかあり、確認できたものでは初期はシールタイプ(背面か底に貼られている/無くなっているものもある)、中期は台付きプレートタイプ(2種類あるようです)、 中後/後期は中期のプレートのみ、後期の最終型は大きいプレートになります。 |
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それから背面上部のつなぎ合せ部分にもシリアルとは別の番号が刻まれています。 この番号もシリアルの番号と並行して進んでいくようです。 確認できている番号では37〜2078番までありました。 よく聞く話では、総数1000台近く作られたという事ですが、この番号だと2000台近くあるのでは?と思ってしまいます。 当社入荷でも割りと均等に番号が存在していたので、その可能性は高く感じます。 そしてこれらの番号(+ユニットのシリアルも含め)を元に発売年代がほぼ推測できそうです。 ちなみに前足の内側に刻まれている刻印はおそらくこれの下桁と思われます。 |
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次に、ツイーターの取り付け方も違います。 古いものは「馬蹄リング」と呼ばれる金具で3点止めで取り付けられていますが、新しいものになると4点止めの金具に変更されています。 これは70年以降頃から変更されたものではないかと推測しております。 |
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それから写真ではわかりにくいですが、ドライバーを固定している器具を止める金具がロの字ナットと六角ナットのものがあります。 ロの字のほうが古いモデルなのですが、およそ刻印1000番あたりから変更されているようです。 |
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それから本体の後ろ脚についているアジャスターも少し変化しています。 時期や種類は調査中のため定かではないですが、一番古いもの六角ナット、中頃は平べったいワッシャーのようなナット、新しいものはまたまた六角ナットに変更されているようです。 ちなみに前脚の底についている鋲も、古いものは鉄鋲ですが、新しいものは樹脂製になっています。特に傷んでしまったものは、潰れて釘の頭がむき出しになってしまっているものもよく見かけます。 |
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最後に、つなぎ目のダボの長さも違います。 ここは特に、後期のモデルが長いといった感じです。(30mm程) 後期以前のモデルはそれの半分くらいで、2~3mm前後の差はあるものの似たような長さです。(15〜18mm程) |
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いかがだったでしょうか? さすがは名機「PARAGON」。 まだ外観の事しか書けてません。 ユニットについても触れたいのですが、調査中というのと、ページが長くなりすぎる関係もあり、次回に持ち越す事にします。 何かご指摘等があれば是非ご教授ください。 それではまた! |