ハイファイ堂メールマガジン

６月に入りまして、作業所の前の公園は、草木が青々と茂り、蝶々や鳥たちが飛び交っております。（ジャングルみたいになってます。）京都商品部の朴　高史です。
私世代（昭和３０年代生まれです。）の最初のオーディオらしきものとの遭遇は、概ね、応接間の中央に置かれた、触ると怒られる「ステレオ」と呼ばれた装置だったと思われます。（その隣には、洋酒が並んだサイドボードと呼ばれる家具が並んでます。）その形は、家長（お父さん）好みの重厚かつ落ち着いたものがほとんどで、和室にも違和感なく置けるようなデザインとなってました。（業界ではアンサンブルステレオと呼ばれてたそうです。）
	VICTOR STL-661 1964
で、欧米での「それ」は、どんなものだったのかというのが今回のテーマです。 LP、EPの販売が始まった４０年代の終わりころ、世界大戦が終わったこともあり、レコードが家庭へと普及し始め、同時に再生のためのラジオとフォノグラフが一体となった「RADIOGRAM」が登場します。「ミッドセンチュリーモダン」や、「スカンジナビア・モダン」などと呼ばれるモダンデザインの理想が実現し始めた時代、そんな家庭に置かれるべく、それらもそれらしい形で登場します。（全部がそうではありませんが。）まずは、ヨーロッパのモダンデザイン発祥の地とも言える当時は西ドイツだったこちらから
Braun R23 1961 チーフデザイナーが、あのディーター・ラムスだった時代のブラウン社の製品です。こちらは、違うデザイナーによるもののようですが、レシーバー部分はディーター・ラムスがデザインした、RCS9が使われてます。

	Braun RCS9 1961
次は、北欧のこちら Bang & Olufsen Beomaster 1200RG　1966 現在も、デザイン重視の「RADIOGRAM」的製品を作り続ける稀有なメーカーです。コンパクトタイプのBeoMaster 900RGもあります。

Bang & Olufsen Beomaster 900RG　1966
次は、イギリスのこちら decca srg 500　1959 クラッシックなDecola Stereoが有名ですが、ミッドセンチュリーなこちらも魅力的です。

ミッドセンチュリーの本場といえば、やはりアメリカ。次は、ミッドセンチュリーの代表的なデザイナー、ジョージ・ネルソンのこちら

Herman Mille Nelson Thin Edge　Hi Fi Cabinet 1952〜ハーマン・ミラー社のチーフデザイナーであった、ジョージネルソンによるシステムファニチャーシリーズ「 Nelson Thin Edge Group」の一つの様です。オフィスインテリアや、ホームインテリア、システムキッチンなどの元となった、モジュラー・ストレージ・システムを用いた先駆け的なシリーズです。

アメリカ主要メーカーの物はこんな感じです。 RCA Victor Victrola New Vista VHT75W　1966


Packard Bell RPC 39　1966
	General Electric　RS17T1　1967
いずれも、機器類は隠され、インテリアに溶け込む様に考えられたデザインになっています。また、なかなかゴージャスな雰囲気です。どのような音作りになってるのか、大変興味があります。

オーディオの黄金期と言われるこの時代の、リビングルームの主役であったのがコンソール型ステレオ。（様々なメーカーから、様々なモデルが作られてたようです。）ですが、オーディオとしての評価はほぼ無いものとなっており、ハイファイ堂でも、殆ど扱わないことになっています。また、海外のものは、殆ど国内には入って来なかったようで、中古品も見当たりません。（海外のアンティークショップのサイトなどではたまに扱ってるようです。）いずれ、消えて無くなってしまう運命なのでしょうか。（はたまた、新たに評価されるのでしょうか？）次回は、一体型レコードプレーヤーについてを考え中です。では失礼します。