レコマ君のジャズレコード独り言 PART-2 第27回目「モノラル・カートリジのこと」 2008年7月4日 レコマ君 レコマ君へのお問い合わせはこちらから http://recoma.hp.infoseek.co.jp/ |
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今回は「モノラル・カートリッジ」について述べます。(続) 前回の「モノラル・カートリッジ」の続きの前に「レコード」の製作工程を見てみよう。 |
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アナログ・レコーディングのオリジナル・マスター・テープが出来ると何本かの「コピーのマスター」を製作する。最初のマスターからは原盤は起こさない。 この段階で、「トラック・ダウン」、「ミキシング」等が行われ、レーベル、エンジニアの色づけがなされる。 日本に入って来るテープは、「コピー・マスター」の「コピー・テープ」だ。これが国内では「マスター・テープ」になる。 このテープからコピーを繰り返して、「コピー・マスター」を製作して、次ぎの作業に進む。 オリジナルは上記の最初の「コピーのマスター」から製作するのだから当然「音の新鮮度」に差が有ることは認識できる。さて工程だが。 |
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1)まずラッカー盤(=原盤)にカッテイングをする。ラッカー盤の上に凹型の溝を刻む工程。 2)次に「メタル・マスター」を製作。 「ラッカー盤」は耐久度が低い為、上面に厚くニッケルメッキをかけ、剥離をすると凸型の盤ができる。これが「メタル・マスター」と呼ばれる。 3)この「メタル・マスター」に銅メッキをかけ、剥離をして凹型の「マザー」を製作する。これは最初の「ラッカー盤」よりも耐久性のある原盤になる。 4)この「マザー」からレコードの製作用の凸型の「スタンパ−」をニッケル、クロムのメッキを行い、2)の工程と同様に製作する。 この時に「スタンパー」の管理ナンバーが入る。これがよく話題になる「マトリックス」云々の元になるナンバーだ。この「スタンパー」にも「手書き」や「マシン・スタンパー=機械打ちのNO.」が有るがこれは製作工場の違いに起因するものだ。 5)この「スタンパー」でプレスを行い、凹型の溝のついた「レコード」が完成する。この「スタンパー」はプレスを行っていくと消耗し、劣化していくため、また4)の工程で新しい「スタンパー」を製作する。 後に述べる「ORTOFON」の「CA25D」(「MONO カートリッジ」)の前身の「TYPE A,B,C」がこの「ラッカー盤」の再生用に造られたMC型カートリッジだった。またこれは当時のカッターヘッドに匹敵するハイ・クォリティーなものだ。 |
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この「ORTOFON」は後に述べるが、国内品でもまだクォリティーの高いものがある。 「SONOVOX / MODEL MC−4」について。 同品は発売開始から30年以上になるが現在でも人気と評価の高い「モノラル・カートリッジ」だ。 バリレラ型と言われる、発電効果の良い構造で太い中域に厚み感のあるサウンドだ。高音の抜けもよい。業務用や、DJ等にもよく使用されている。 |
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規格はMC型 出力 7mV 針 1ミル丸針 針圧 3g 自重 13g になっている。高出力なのでダイレクトでも使用できる。 |
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換え針。中央の差込口にピン状のものを差し込むだけで交換できる。 現在、本体は生産中止になっているが、換え針のみ受注生産されている。 |
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次に海外製品の最も「ジャズ」向きのカートリッジと定評のある「ORTOFON=オルトフォン」の「モノラル・カートリッジ」についてのべます。 「STEREO SOUND」から「オルトフォンのすべて」が出ていているので全体的なところは省くが、その中の「モノラル」用に関してを述べる。 |
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「STEREO SOUND」からの「オルトフォンのすべて」 HIFI堂「過去情報データ-ベース」から引用 |
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よく知られている「ORTOFON」の「モノラル・カートリッジ」に「CA25D」、「CG25D」のシリーズと「SPU MONO」がある。これについて述べる。 |
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「ORTOFON」の製品の中で最も定評のあるのが「SPU」だがこれは「ステレオ・ピック・アップ」の頭文字をとったもの。したがって「SPU」の登場は「ステレオ」レコードの登場とシンクロしている。1959年に「SPU」シリーズ「MC」型 カートリジとして発売される。これは1958年ごろからの「ステレオ・レコード」の登場に対応したもの。 したがって「SPU MONO」というのは不思議なのだが。 基本的に「SPU」のシリーズと「CA25D」「CG25D」とは全く違った流れにある製品といえる。 |
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「CA25D」 「ハーマン・インターナショナル」からのもの。 HIFI堂「過去情報データ-ベース」から引用 |
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「CG25D」 これも「ハーマン・インターナショナル」からのもの。 HIFI堂「過去情報データ-ベース」から引用 |
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今回の「オルトフォン・モノラル・カートリッジ」になる「CA25D」「CG25D」は前述の「レコードの製作」のところで述べた「モノラル・カートリッジのタイプ1,2,3」(形状は CA25Dに類似)が原型になる。 「ORTOFON」のカートリッジの歴史は1946年の「グラムフォン」のレコード製造用の「モノラル・カッターヘッド」の製作から始まる。この年に「フォノフイルム・インダストリー」の社名になる。 1948年に前述の「モノラル・カートリッジ」「CA25D」、「CA25D」の前身になる「モノラル・カートリジ」の「タイプ1,2,3」の登場になる。 この「タイプ・A」はスタンダードタイプ。 「タイプ・B」はブロードキャスティング用のもの。 「タイプ・C」はスペシャル・タイプと分類されていた。 それぞれ振動系は同じだがスペックが異なったものだった。 これが進化して、「タイプ・A」、「タイプ・C」のみになり、「G シェル」にはめ込まれたものが「タイプ CG」、「A シエル」にはめ込まれたものが「タイプ CA」になる。これが発展して「CG25D」、「CA25D」になり1989年まで長期の販売がされる。 この時期から「ORTOFON」の社名に変わる。 |
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今回はここまで、次回ではこの「ORTOFON」の国内販売元のことと、復刻タイプのこ とを述べます。 |
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♪今週の推奨盤♪ 今週はモノラル用の名機 「CA25D」 特に「G」でなく「A」シエルの「CA25D」の「ハーマン」時代のもの。 「A」シエルはいわゆる「シエル鳴き」ガ少なく、リード線なく出力端子に直接接続されているので「ロス」も少ない。 規格 MC型 1.5mV 針圧3〜4.5g CA25の25は針の半径を示す。 |
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